先日、中古戸建てを探していた際、ある不動産営業の方と出会いました。その方は「すみません」という言葉をひんぱんに使用し、丁寧な対応を心がけている様子が印象的でした。
最初は気になりませんでしたが、次第に違和感を覚えるようになりました。もしかすると、「すみません」は口ぐせなのかもしれません。ですが、その営業の方は私たちをお客様として丁重に扱おうと、謙遜の表れとして「すみません」を使っていたのでしょう。
抱いた違和感の理由を考えてみると、私が営業の方に求めていたのは単なる”お客様”扱いではなく、”住宅を決定する上でのパートナー”としての関係性でした。BtoCでもBtoBでも同じですが、重要な決断をする際には専門知識を持ったパートナーがいると安心します。そういう意味で、私も営業の方がパートナーであってほしかったのです。
「すみません」を繰り返し聞くうちに、私の中に疑念が芽生えました。
「この物件に何か問題があるのだろうか」「この営業の方は自信を持って接客しているのだろうか」と。
さらに、営業の方の自信のなさが伝わってきて、「本当に信頼できる人なのか」と余計な思いが頭をよぎり、契約を躊躇するほどになってしまったのです。
幸い、ベテランの営業の方のフォローもあって、最終的に信頼関係を築くことができました。しかし、この経験から過度な謙遜は信頼構築に不向きな場合もあると気づきました。
日本には謙遜の文化がありますが、海外では日本人の「sorry」の使い方が誤解を招くと言われるほどです。顧客と接する際、特に関係構築ができていない新規営業先とのやりとりでは、言葉遣いが関係性構築に大きく影響することを意識する必要があります。
この体験から、ビジネスの場面では謙遜と自信のバランスを適切に取ることが重要だと学びました。特に重要な取引では、相手を安心させ、信頼関係を築くコミュニケーションが不可欠だと実感しています。
【後日談】
「すみません」を連発していた営業の方は私と同郷で、中学の先輩後輩の間柄だと判明しました。老婆心ながら、アドバイスをさせていただきました。今後の成長を心から願っています!