「YouTube運用サービスを企業に提案・販売していくには顧客理解が重要です」ということを、CUE7期スタートの決起会で話しました。
この記事を読んでいるみなさんは顧客理解が大切、顧客理解に力を入れましょうとどこかで聞いたことがあると思います。もしくは今の職場で耳タコのように言われているかもしれません。
ただ、顧客理解とは何を理解することなのでしょうか。実際のビジネスの現場ではそこまで深く説明されないかと思います。僕も20代のときは、何をしたらいいかよくわからないままに顧客を理解しようとしていました。とりあえず顧客にヒアリングしてみる、何か情報を聞き出そうとしてみる、みたいなことをしていました。
そうなんです。一般的によく言われている「顧客を理解しましょう」という言葉は、ボワッとしているのです。この「顧客を理解しましょう」という言葉がボワッとしていて何を理解したらいいのかわからないので、結果的に顧客理解ができず、サービスが思ったように売れない(ターゲットに届けられない)となるのです。顧客を理解していたら強引なセールスなど本来は不要なのです。
というわけでこの記事では、顧客理解とは何を理解することなのか、顧客を理解することで事業を伸ばしてきた(という自負がある)松見が説明してみたいと思います。
顧客理解をすると何が良いのか
そもそも顧客理解をすると何が良いのでしょうか。
何が良いのかを端的に書けば、顧客理解をすることで売り込まなくても勝手にサービスが売れる状態を作れることです。
顧客理解をしていないとサービスが売れにくいというのはみなさんも想像しやすいですよね。だから顧客理解をしましょうとなるわけです。売れにくい状態を改善する程度のものではなく、顧客理解を極めると、売り込まずして自社のサービスが理想の顧客でいっぱいになるという状況がつくれます。
顧客理解をするとサービスが勝手に売れていくという点でメリットしかありません。では、顧客理解とは何を理解することなのでしょうか。
顧客理解とは顧客の「現状」ではなく「変化」を理解すること
CUEのサービスに顧客が触れる体験には、動画やWebコンテンツなどのクリエイティブ、YouTubeやInstagramなどのSNS、ホワイトペーパーなどの会社資料といったマーケティングが直接的に介入できる側面と、顧客が自身の主観的なフィルターを通してそれらをどう理解、認識、意味付けをするかというマーケティングが直接介入できない側面があります。
データや机上の思考だけでは、仮説を立てることや想像することでさえも難しいのが後者ですね。ただ実際にCUEのサービスの価値は顧客が決めるものです。顧客の物の見方や理解、認識、意味付けのメカニズムを知らずしてマーケティングが介入可能な前者の部分の作り込みをしても、無駄打ちになる可能性が大きいですね。
顧客の物の見方や理解の仕方、認識、意味付けを把握するために、顧客が今考えていることや置かれている現状を聞き出すのではなく、顧客が△△の状態から〇〇の状態になったという顧客の変化を理解することが重要なのです。
顧客の変化を理解しようとすることで、顧客の物の見方や理解の仕方、思考のクセみたいなものが浮き彫りになってきます。
顧客の変化とは
顧客の変化=行動の変化×感情の変化×価値認識の変化です。
行動の変化は、頻度やタイミングなども含め、顧客の行動がどう変わったのか。感情の変化は、好みやポジティブ・ネガティブなどの想いの変化。価値認識の変化とは、購買理由やクレームの理由など考え方や価値基準の変化です。
顧客の変化を理解しないといけない場面なのに、一般的に顧客理解をしましょうと言うと現状を理解しようとする人が多いです。これだと顧客の行動の変化、感情の変化、価値認識の変化を理解できず、物の見方や思考のクセ、認識を理解することもできないわけです。
顧客のナラティブを集める
顧客の変化を理解するためにやるべきことは、顧客のナラティブを集めることです。
ナラティブとは、顧客が自身の体験や価値観を語ることで生まれるストーリーのことを指します。これは単なるデータとは異なり、顧客が自らの言葉で語る体験や感情が含まれているため、彼らがどのようにサービスを捉え、価値を感じているのかがより深くわかります。
では、顧客理解を深めるためには誰のナラティブを集めればいいのでしょうか。
答えは、ゴールとなる状態にすでに到達した顧客、つまりYouTube運用を半年継続した顧客となるわけです。
では次に、ナラティブはどうやって集めればいいのでしょうか。
基本的には顧客との対話です。対話はオンラインでもOKです。むしろテキストでも良いです。ここで重要なのは顧客と対話をするプラットフォームではなく、対話技術なのです。
いきなり顧客に「あなたがCUEのサービスを導入するに至った体験を語ってください」といっても語れるはずがないです。
ここで再確認なのですが、集めるべきナラティブは、顧客が自分で語る内容を考え述べた語りなのです。(まあ当然の話しではありますが)
つまりCUEがやることは、語る内容を自分で考えて言語化できる対話環境を顧客に提供することなのです。例えば、顧客ヒアリングや顧客インタビューでは、適宜、あなたにとってはどうですか?あなたはどう考えましたか?と聞いてあげる必要があります。
なぜなら顧客はどこかで聞いた世間一般的なみんなの感想みたいなものを知らず知らずのうちに代弁していたりするからです。
あと、そもそも、「顧客は自分自身や自身の体験を完全に把握して言語化できているわけではない」ということもよく理解しておく必要がありますね。
顧客インタビューの質問リスト
最後に、顧客インタビューの質問リストを伝授しましょう。
この質問をベースに、顧客の感情が動いた瞬間や思考のクセ、物の見方を語っている部分は、さらに具体の質問をしていきます。
「なぜそうしたのか?」と聞くのではなく「何がそうさせたのか?」と聞きます。なぜを聞くと顧客は過去の関係ないストーリーを語り始めますが、何がそうさせたのかを聞くと、思考のクセや物の見方がわかってきます。
質問リストです。
記憶を思い起こさせるウォーミングアップの質問:「CUEのサービス(YouTube運用)を開始したときのことを教えてください(いつ、どこで、誰と、どうして買ったか)」
現状体験のナラティブを引き出す質問:「CUEのサービスを契約する前のことを教えてください。CUEのサービスやYouTube運用がまだ自分には必要ないと思っていた頃は何をしていましたか。」
課題感のナラティブを引き出す質問:「CUEのサービスやその他SNS運用代行サービスが、自分に必要だと思い始めたきっかけは何でしたか。」「探し始めたときのエピソードを教えてください。」
受容価値のナラティブを引き出す質問:「CUEのサービスを選ぶに至った経緯と、最終的に選んだ決め手は何でしたか。」「他に検討したサービスと比べて、どのような点が自分にとってより良いと感じましたか。」
ビジネス上での変化を引き出す質問:「YouTube運用を始める前に抱いていた期待が実現したエピソードを教えてください。」「YouTube運用をやり続けることでビジネスにどのような変化がありましたか。」「今思えば、これはYouTube運用を始めたことがきっかけで変わったな、と思えるような仕事上での変化はありますか。」
さぁこれで顧客理解をしていく準備が整いました。あとはどんどん実践していきましょう。顧客の変化に着目し、物の見方や思考のクセ、認識、意味付けを理解していくのです。
共に、顧客理解を深めましょう。顧客理解をした者はビジネスを制す!です。