まちづくり・地域活性化の課題にもWebマーケティングの考え方が活用できた

CUEで広報担当している井上です。

Webライターをしてきた私は、SEO記事を書くこともあったためコツコツとWebマーケティングを勉強してきました。

Webマーケティングと聞くと、「インターネット上だけの話でしょ?」と思われるかもしれません。しかし、地域活動の中でもWebマーケティングの考え方は活用できると感じた出来事があったのでシェアさせていただきます。

Webマーケティングとはインターネットを活用しておこなうマーケティング活動のこと

Webマーケティングとは、主にウェブサイトやソーシャルメディア、検索エンジン、メールなどのデジタルチャネルを使用して、商品やサービスの宣伝、顧客獲得、ブランド構築などをおこなうことを指します。

Webマーケティングをおこなう際の重要な考え方の一つに、「ターゲットのニーズと行動を深く理解し、それに合わせたマーケティング戦略を立てる」というのがあります。

今回私は、ターゲットが抱いている本質(気持ち)を読み取ることに注力し、カスタマージャーニーの考え方を活用することで地域の課題解決プランを立てられました。イメージしやすいよう、実際のエピソードとともに紹介していきます。ぜひ最後までお付き合いください!

地域活動にもWebマーケティングが使えると感じた出来事

話を進めていくうえで、「地域活動とWebマーケティングがどうつながるの?」と感じた方が多いと思います。そのため、背景をお伝えします。

私は福岡県古賀市のまちづくりイベントに参加しました。そのとき、ある方に出会ったのです。その人はこんな話をしてくれました。※ある方のことは今後Aさんと呼びます

「少子高齢化で子ども会がなくなりそう。自治会脱退者が続々と増え、自治会も崩壊寸前。コミュニティ形成を図るためにも食を通じたイベントを企画したい」

Aさんの話に共感した私と他数名でチームを組み、課題解決に向けて動き出しました。

どんな地域課題があるのか?

Aさんの話では、「子どもたちの地域活動が減っているだけでなく、高齢者のコミュニケーションも減ってきている」とのこと。そこで、海外ではメジャーな“POTLUCK PARTY”と呼ばれる、ご飯を持ち寄って食卓を囲む地域イベントを企画することになりました。

話し合いを進める中で、次々と疑問があがってきます。

  • イベントを企画して人は集まるのか?
  • 誰に来てほしいのか?
  • 食卓を囲むだけで楽しめるのか?
  • 自治会未加入者が参加したい場合はどうするのか?

上記に挙げたものは一部で、疑問や課題はたくさんでした。「そもそも、こうしたイベントを一度おこなったところで、課題は解決できるのだろうか?」と感じ、チームで地域課題のあぶり出しをおこないました。

SEO記事を書くときも、Webマーケティングを使って顧客の望みをかなえるときも、まずは相手の課題や悩みを知ることが重要です。悩みを知って腹落ちするまで理解する、これ鉄則です!

〈出てきた地域課題〉

  • データ上、10代の地域イベント参加率が低い
  • 肌感覚では高齢者のイベント参加率も低い
  • 自治会費が還元されていないように感じ、脱退する人がいる
  • 自治会未加入者でもいくつかのイベントには参加できるようになっている
  • 地域活動をおこなう時間がない
  • 地域との関わりがわずらわしい
  • 地域活動をおこなう体力がない

地域課題をあぶり出して、特に問題と感じたのは、自治会未加入者でもいくつかのイベントに参加できるようになっており、自治会費を払う意味が見いだせていないという点です。

未加入者でも参加できるイベントがあるのなら、自治会費が還元されていないように感じるのは至極当然のような気もします。脱退者がいるのも、うなずけますね。

また、個人的な意見ですが、自治会費を払っておこなう地域活動は、お金やモノが自分に対価として返ってくることはないため、「無償」「奉仕」「ボランティア」といった感じがします。返ってくるのは「思い出」や「体験・経験」といったものであり、そのインパクトが弱いため、若者はメリットよりもデメリットの方が大きいと感じ、脱退してしまうのだろうと思いました。

地域の崩壊をもたらしている根本は?

子ども会消滅寸前、自治会崩壊寸前となっている理由は「少子高齢化」や「人口減少」「共働き世帯の増加」と言われているようですが、ここでは根本的な理由を下記のように絞ってみました。

  • 自治会費を払う意味が見いだせない
  • 地域活動に時間と体力が奪われる

この根本的な理由を解決しないと、「イベント楽しかったね」で終わるだけで、地域課題の解決には近づきません。そうならないためにも、もう少し地域の人(ユーザー)視点に立ち、状況を考えてみます。

ユーザー目線になること(相手の頭になったつもりで考えること)で、相手の本質(潜在的な望み)に近づけるようになります。本質を可視化するためにも、カスタマージャーニーマップを作成するのも一つの手です。

地域の人はどんな環境におかれているか?

地域を構成する人を、高齢者・子ども・子どもの親と3つにざっくりと分けました。そして、この人たちが抱える社会的な悩みを考えてみました。

高齢者

外出機会が少ない、単身者は会話する機会がない、孤独を感じる、体力がない

子ども

異年齢交流が少ない、家族・親戚以外の大人とのコミュニケーションが少ない、親が共働きで孤独を感じる

子どもの親

時間がない、体力がない、子どもの預け先がない

地域の根本課題を解決し、地域の人の社会的環境をよくするために考えたこと

もう一度、「地域の根本課題」と「地域の人がおかれている環境」を整理します。

〈地域の根本課題〉

  • 自治会費を払う意味が見いだせず脱退
  • 地域活動に時間と体力が奪われるため不参加

〈地域の人がおかれている環境〉

  • 高齢者
    外出機会が少ない、単身者は会話する機会がない、孤独を感じる、体力がない
  • 子ども
    異年齢交流が少ない、家族・親戚以外の大人とのコミュニケーションが少ない、親が共働きで孤独を感じる
  • 子どもの親
    時間がない、体力がない、子どもの預け先がない

POTLCK PARTY(持ち寄りごはん)は、「地域の人がおかれている環境づくり」には持ってこいのイベントでしょうが、「地域の根本課題」を解決に導くイベントとしては筋が通っていません。

そこで、地域の根本課題を解決に導く筋道として、新たな自治会の在り方を提案してみました。私が提案したプランは下記の通りです。※提案段階であり、チームとしての決定事項ではありません!

  1. 自治会未加入者や他地域の人が参加したいと思うイベントを企画する
  2. 自治会未加入や他地域の人からは参加費を徴収する
  3. 徴収したお金は自治会費と帳簿を別にし、使い方を地域みんなで考える
  4. さらに自治体でお金を稼ぐためのイベントを企画する

順に内容を説明していきます。

1|自治会未加入者や他地域の人が参加したいと思うイベントを企画する

まずは、自治会未加入者や他地域の人でも参加できるイベントを企画します。POTLCK PARTY(持ち寄りごはん)もその一つです。イベントは、ターゲットが抱える悩みを解決したり、欲望を満たしたりするものにします。

なお、POTLCK PARTY(持ち寄りごはん)は、「高齢者の外出促進」「子どもと大人の交流」「親の負担軽減」などの課題に着目し、イベントを企画しています。

共働き世帯は平日休日ともに忙しいですから、親から離れても問題ない年齢の子どもは一人での参加をOKとします。もちろん親子での参加もOKです!

「地域活動に時間と体力が奪われるため不参加」という課題について、捉え方を少し変え「親のイベント参加は強制しない。むしろ、子どもだけを参加させて当イベントを親の時間創出に使ってほしい」といったアプローチ方法に変えてみます。

各ターゲットにささるコピーを用意し、参加するメリットを明確化したうえで周知活動をおこないます。

2|自治会未加入者や他地域の人からは参加費を徴収する

「自治会費を払う意味が見いだせず…」という根本的な課題を解決するため、自治体加入者と未加入者を参加費で線引きします。

自治会費を払っている人は参加費無料、払っていない人はイベント都度徴収とすることで、自治会費を払った方がお得という考えにもっていく戦略です。自治会に参加する(自治会費を払う)メリットをはっきりと提示してあげるのはポイントですね。

お金で解決するのは地域活動としてよろしくないと思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、この参加費は後々、地域活動の満足度を高めるだけでなく、地域に関わる人を増やす役割もあるため必須条件としました。

3|徴収したお金は自治会費と帳簿を別にし、使い方を地域みんなで考える

自治会費は地域の共有施設の維持費や定例イベントに使用されるため、予算編成を変えるわけにはいきません。そこで、自治会未加入者や他地域の人から徴収したお金は、自治会費とは別会計にして管理していきます。

そして、徴収したお金(地域で稼いだお金)をどう使うか地域の人で考えていきます。このときのポイントは、子どもから高齢者までまんべんなく意見を聞くこと。自治会未加入者にも発言権を与えます。

お金の使い道は自治会加入者がおこなうのが通例かもしれませんが、地域のコミュニティ形成を図るには、未加入者にも発言権を与えることが何よりも大事と考えます。自治会未加入者にも発言権を与えることで「知らず知らずのうちに自治会が身近なところにあった」という状況を意図的につくり出すのです。

また、お金の使い方についてですが、既存の物(買い替えや更新等)にお金をかけるのではなく、新しいもの・コトにお金をかけるように心掛けます。理由は、新しいものやコトにお金をかけ、次のイベントを発展させていくためです。

4|さらに自治体でお金を稼ぐためのイベントを企画する

地域みんなで考えて購入したものやコトを活用し、新たなイベントを企画します。

〈参考〉
1,200人あまりの住民の4分の1が70歳以上の高齢者という栃木市箱森町では、認知症予防や子どもたちとの触れ合いに役立つという理由でテレビゲームを使ったイベントを開催。高齢者からは「初めてゲームをしたが、すごく楽しい!」との声も上がったそうです。

お金はゲームができる環境を整える資金に回すのもよし、外部講師を招く費用にするのもよし。予算の範囲で、これまでやったことのない取り組みに挑戦します。予算が足りなければ、楽しいけれど低予算でおこなえるイベントを開催します。

なお、こうした仕組みを取り入れるには、現自治会の理解を得なければなりません。理解を得るのは難しいでしょうが、何かアクションを起こさなければ子ども会は消滅し、自治会は崩壊します。理解を得てもらうまで繰り返し、伝えていくことが大切です。

ちなみに、ビジョンとミッションは以下のように掲げてみました。

ビジョン:よそから憧れられる地域になる
ミッション:POTLCK PARTY(持ち寄りごはん)やその他イベント開催

この取り組みが地域課題の解決になったらいいなと思いつつ、チームの意見も反映しながら地道に取り組んでいきたいと思います!

課題を知り、本質を読み取ることで課題解決のヒントが見つかる

私がまず始めにおこなったのは地域の課題を知ることでした。そして、たくさん出てきた課題の中から、起きている事柄ではなく“根本的な問題”をピックアップし、その問題が起きている理由を考えました。

理由までたどり着けると、仕組みづくりがスムーズになります。ユーザーを理解すること、すなわちユーザーがどんなフェーズにあるのか・どんな感情を抱いているのかを理解するのは、課題解決のヒントになるんですね。

道筋を立てられれば、あとは実行するのみ。今回の提案プランはまだチーム内で話し合えていないため決定ではありません…!しかし、こうして筋道を立てることが何よりも重要で、人を動かす理由になるのだろうなと改めて感じました。

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この記事を書いた人

1990年福岡県生まれ、福岡県育ち。新卒入社した会社で13年働いたが、副業でやっていたブログからWebライターに興味を持ち会社を退社。退社の決意が固まった理由はアニメ『進撃の巨人』で出てきたフレーズ「何かを変えることのできる人間がいるとすれば、その人はきっと大事なものを捨てられることができる人だ」だった。