個人の能力を上げて仕事の質を高めるには、小さな積み重ねが必要です。
あいさつの表情、御礼のタイミング、メールの書き方、フィードバックのもらい方、タイピング速度、ショートカットキーなど。小技ですね。ひとつひとつは小さな事かもしれませんが、やがて大きな差になります。
仕事の成功は派手な大技ではなく、近道を探すことでもなく、地道な小技を磨くことにあります。
というわけで今回の記事では、その小技のひとつでもある議事録の書き方について解説してみます。議事録の書き方次第で、だたの報告共有機会がフィードバックをもらえる最高の機会に生まれ変わります。
最近自分の成長速度が鈍いな…と感じている方、ぜひ参考にしてみてください。
成長したいなら議事録の書き方をアップデートしよう
顧客対応後の議事録をどう書くかで、チームの成長速度は大きく変わります。チームメンバーは、上司(顧客対応で既に結果を出している人)からのフィードバックをいかに得るか、これがそもそも重要だということをまずは理解してください。
個人が成長するには、体験→指摘→分析→仮説化というサイクルをぐるぐる回すことが大切です。何かの仕事(営業・撮影・商談など)を体験したあとすぐに分析しようとする人がいますが、その前に指摘をもらうことで成長速度は圧倒的に早まります。
指摘(フィードバック)をもらうために議事録をアップデートしましょう。
なぜ一般的な議事録ではもったいないのか?
多くのチームでは、「決定事項」「検討事項」「今後のアクションプラン」をまとめて議事録として共有することが多いです。しかし、これだけでは成長のチャンスを逃してしまう可能性があります。何がダメなのか。3つポイントがあります。
プロセスへの介入ができない
「決定事項」「検討事項」「今後のアクションプラン」がきれいにまとまった議事録だと、上司が見るのは最終的なアウトプットだけになります。大前提、議事録を顧客に提出する場合はこれで良いのです。
ただ、この議事録の書き方だと、チームメンバーの顧客対応にエラーがあった場合、それを見つけることができないし適切に介入・指導することができません。議事録というアウトプットに対して指摘をおこなういわゆる「コンテンツ介入」や「出口管理」となってしまいます。
そうではなくて、チームメンバーがどのように考え、何を基準に判断したのか、どのようにモノを見ているのか、そのプロセスを明確にすることが大切です。プロセスが不明だと「プロセス介入」ができません。これでは本当に改善すべき点がわからないまま、ずっとコンテンツ介入を続けることになります。
成長の機会を奪う
コンテンツ介入ばかりを続けることで、結果的にチームメンバーの成長機会を奪うことになってしまいます。
プロセスが共有されていないと、チームメンバーは「結果に対する指摘」しか受けられません。これでは成長のヒントを得ることが難しく、思考も深まらず、同じミスを繰り返す原因になります。
箇条書きは解釈のズレを生む
一般的なよくある議事録は箇条書きが多くないですか?私は箇条書きが根本的にダメだと思っています。文章がきちんと書ける人は箇条書きでも良いですが、ほとんどの人が文章をうまく書くことができません。箇条書きで書かせると意味不明な議事録を共有されることが多いです。
何が意味不明なのか。若手メンバーが箇条書きで議事録を書くと、多くの場合、事実がわからないのです。事実と解釈が混ざってしまうのです。
箇条書きだとチームメンバーの勝手な解釈や主観がいつの間にか入っている場合が多いです。これだと上司が適切にプロセス介入できないし、業務の前段階で致命的な解釈のズレが生じてしまい、仕事がうまく進まないケースを多く見てきました。
弊社では、議事録を文字起こしレベルで詳細に書き起こし、上司(顧客対応で既に結果を出している人)からフィードバックをもらう仕組みを採用しています。これにより、現場のスキルが一段階向上し、若手の育成にもつながっています。
議事録をプロセス共有に変える具体例
例えば、YouTubeの撮影で顧客先を訪問し、打合せや商談をおこなったとします。この場合だと以下のような議事録を作成することが一般的かと思います。(説明の都合上、かなりシンプルに書いています)
- 決定事項:次回撮影日は〇月〇日
- 検討事項:動画の構成案を再検討
- 今後のアクションプラン:新しい台本を1週間以内に提出
一見、シンプルでわかりやすいように思えます。しかし、これではプロセスがまったくわかりませんね。結果に対する指摘はできますが、プロセスに対する指摘は不可能です。
上記のように書くのではなく、顧客先でどのような会話をしたのか、何を自分が判断したのか、顧客の気持ちの変化はどこにあったのか、そのプロセスを細かく記載した議事録を作成しましょう。
細かく書いたほうが良い例をいくつか書いておきますね。
- 顧客が最初に話した内容とそのニュアンス
- 自分たちが提案したアイデアの反応
- 顧客から何を質問され、何を答えたのか
- どのような順序で議題を展開したか
- 顧客がどのタイミングで合意したか、または難色を示したポイントはどこか
- 顧客はサービスの何を良いと思っているのか
- サービス導入のボトルネックは何か
- 商談中に気づいた潜在ニーズは何か
- 顧客の要望にどのように対応したか
- スムーズに進んだ部分と課題があった部分は何か
上記を参考に、文字起こしレベルの議事録を作成することで、上司はプロセス全体を把握できます。
そして、「こういう伝え方だともっと響くかも」「この質問には別の切り口で答えるべきだったかも」など、具体的なアドバイスが可能になります。
文字起こしレベルの議事録はめんどくさいけど力になる
YouTubeをサービスとして提供するBtoBの顧客対応が初めての人や若手のビジネスパーソンは、顧客対応のプロセスを共有しフィードバックをもらうことで爆速成長が可能になります。
この記事を読んでくれているみなさんも、今日から議事録の書き方をアップデートしてみましょう。1ヶ月でも続けてみると、自分の変化に気づくはずです。